2004年に僕が書いた新聞コラムを紹介する企画。第1回は地域の銭湯をネタにした「今も住民交流が図られる銭湯」でした。2回目となる今回は京都のラーメンをテーマにした記事です。11年も前の記事ですが興味のある方は読んで下さい。
新・京まち模様
濃厚さ魅力のラーメン激戦区
滋賀に住んでいる私はこれまで、「京都の料理派すべてが薄味」と思い込んでいた。しかし、その認識を覆したのは、学生時代に食べた一杯のラーメンだった。
当時、よく友人と木屋町へ遊びに行っていた私は、帰りの道中に、北白川にあるラーメン屋に寄った。「こってり」で有名な店だと後からわかったのだが、麺と一緒にスープまで持ち上がるほどドロッとしたラーメンに、正直とまどった。おそるおそる口に入れてみると、コクがあるのに意外としつこくない。そのまろやかな味にすぐ虜になった。店を出ると、「京都のラーメンって、実は濃厚?」という疑問が生じ、他店の味も確かめようと日々食べ歩いた。
その結果、気付いたことがある。京都ラーメンとは、「豚の背脂系」「濃厚しょうゆ系」「こってりとろみ系」と三系統に大別できると言うことだ。京都は一般的に「ダシは薄味」で知られているが、ラーメンに関しては濃厚な味が定着している。もちろん、うどんのようにスープが透き通っていて、あっさりしているものもある。しかし、それは京都をイメージして味付けされたラーメンであって京都系ラーメンではない。京都系=濃厚なラーメンといえるだろう。
そんな京都にも近ごろ、全国各地のチェーン店が台頭してきた。トンコツで有名な博多系ラーメンに、みそを使う北海道ラーメンなど、各地方の自慢の味が出そろってきている。さらに、京都駅ビルには『拉麺小路』という全国のえりすぐりを集めたテーマパークもオープン。京都系ラーメンに加えて、ご当地ラーメンも注目されている。
次々と新しいラーメン店が登場する京都。人気の店には必ずと言っていいほど行列ができている。今まで通り濃厚な京都系を楽しむか、各地の味に挑戦してみるか。いずれにしても、選択肢が多いことは良いことだと思う。今の京都はラーメン好きにはたまらない状況なのである。
記事は2004年4月30日のものです。
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