編集者がデザイナーに発注する際、当然のことですが、色や写真の大きさ、ワード数など、可能な限り指示を記入しておくと伝わりやすいです。編集者によって書き方は異なりますし、出版社によって指示書の呼び方が変わる場合もあります。様々な人とやりとりする機会が多い編集者は、基礎的なことを覚えておきましょう。
デザインラフ? サムネイル?
版元やデザイナーによって呼び方は変わりますが、デザイナーにビジュアル素材と一緒に渡すデザイン指示書のことを、「ラフ」または「サムネール(サムネイル)」といいます。ラフはラフスケッチの略。サムネールは親指の爪という意味で、小さく簡単に書くラフスケッチのこと。編集者(企画担当者)がデザイナーに渡す指示書は、“おおまか”という意味で「サムネール(サムネ)」といっていいかと思います。ただし、出版社によってはサムネイルは台割りのことを指す場合もあります。事前に確認しておいた方が無難です。場合によっては絵コンテと呼ぶことも。
サムネールはデザイナーに渡すページ設計図
デザイナーによって、作りやすいサムネールはまちまちデザイン入れ(レイアウト入れ)で大切なのは、編集者(企画担当者)がどんなイメージの誌面をつくりたいかを的確にデザイナーに伝えること。写真を大きく使うのか、小さく使うのか、文字量はどのくらいほしいのか、スッキリさせたいのか、楽しい感じにしたいのか、クールにしたいのか、甘い感じにしたいのか。そういった要素をサムネールに落とし込んで、写真やテキストと一緒にデザイナーに渡します。(優秀なデザイナーはテキストを読み、意味を考えながら作業にあたってくれるので、編集者(発注者)の指示がアバウトになる傾向もあります)
サムネール作成のポイント
デザイナーに正しく伝えるために、サムネールには必要な写真がわかるように写真枠を入れます。そして写真とサムネールにわかりやすいよう合番をいれます(番振り)。文字のスペースを横組みなら「Z」線、縦組みなら「N」線を入れます。タイトル・リード・キャッチ・本文・キャプション・データなど、分類ごとにマーカーで色分けしておくとデザイナーに伝わりやすいのはもちろん、編集者の頭も整理できるのでおすすめ。
サムネイルの大きさ
デザイナーに編集意図(企画意図)を伝えられたら大きさに関係ないのですが、まだ慣れていない方は原寸大でサムネイルを描くのがベター。基本的な構造ミスが、この時点で防げます(素材が多すぎとか、スカスカしているとか)。原寸なら、だいたいの文字量もカウントしやすいのです。
サムネイルを保存しておくと、あとで類似企画を考えるときに便利です。または評判の良かった企画・デザインはどういった指示書で生まれたかと検証することもできます。管理人はデザイン指示書の下書きをノートにまとめていましたが、今はEvernoteで管理しています。
管理人の言いたいこと
きちんとしたサムネイルを渡してから、デザイナーの旅が始まります(苦悩の旅?)。人によってはサムネールに忠実に組みすぎたり、綿密なサムネールを渡すと「作業しにくい」と逆に悩んだりするデザイナーもいますが…。相手がどんなタイプのデザイナーなのかを見極め、臨機応変にやり方をアレンジして下さい。デザイン入れ(レイアウト入れ)した後に、企画の魅力やクライアントの意向を説明することを忘れずに。